- 夫は家業の手伝をしているため、給料が手渡しで明細など収入を証明するものがなく、手元には「お給料もらったよ」というLINEのメッセージ履歴しかありません。離婚の際に適切に養育費を計算するためには、どうすればよいですか?
-
可能な限り記録を残しておくことが大切です。
たとえば、「お給料をもらった」という旨のメッセージに対し、「いくらもらったの?」と聞くことで金額を記録するなど、工夫をするとよいでしょう。また、家業を手伝っているケースであれば、夫の親族の確定申告書に夫に支払われた給与(専従者給与)が記載されている場合があります。そこで、離婚調停の際に「調査嘱託」を申し立て、夫の親族の確定申告書の開示を求めることも手段の一つです。
専従者給与は稼働の実態を反映していないことも多く、開示を受けられたとしても金額がそのまま養育費の計算に採用されない可能性はありますが、「収入の証明がなく、記録も難しい」という場合には検討してもよいでしょう。なお、調査嘱託の手続をするには、裁判所に調停を申し立てたうえで調査嘱託の申立書を提出する必要があるため、弁護士に依頼するのがスムーズです。
- 子どもが成人するまできちんと養育費を支払ってもらうにはどうしたらよいですか?
-
養育費を取り決める際に、公正証書を作っておきましょう。
公正証書があれば、将来養育費が不払いになった場合も、スピーディーに元配偶者の給与などを差し押さえる手続ができます。また、面会交流などで子どもへの愛情を持ち続けてもらえるような状況を作ることも大切です。
子どもと離れて暮らす親は、新しいパートナーができたり、再婚して子どもが生まれたりすることで、あなたとの子どもへの気持ちが離れてしまうことがあります。そういった状況が養育費の不払いにつながることもあるためです。なお、養育費は月々の分割払いが一般的ですが、相手に資産がある場合、先に一括で支払ってもらうという方法も考えられます。ただし、利息分の差し引きや余分な税金が発生するため、一括払いが妥当かどうかは、慎重に検討する必要があります。
- 10年前に離婚し、養育費支払いの取決めをしました。しかし6年前から支払われなくなっています。今からでも請求することはできますか?
-
養育費の取決めをしていれば、支払いが滞っている過去の養育費を請求することができます。しかし、過去の養育費をどこまで遡って請求できるかは、取決めの方法によって異なるので注意が必要です。
お互いの話合いにより、「養育費として毎月○万円支払う」と取り決めた場合、月々の養育費の請求権は5年で時効消滅してしまいます。公正証書を作成した場合でも同様です。つまり、話合いで決めた養育費は、相手方から時効の主張をされた場合、原則として遡って5年分しか認められないのです。ただし、時効の更新(※)という制度もありますので、残りの1年分につき認められるのかは事案によります。
一方、家庭裁判所の審判や調停により養育費を取り決めた場合には、養育費の請求権の消滅時効は10年となります。この場合、過去の養育費について10年分遡って請求できるので、6年間滞納されている養育費については、全額の請求が可能です。
※法改正により、「時効の中断」という文言は2020年4月1日以降、「時効の更新」と規定されることになりました。
- 子どもが18歳(高校卒業)になるまで養育費を支払ってもらうよう取決めをしましたが、22歳(大学卒業)まで期間を延ばすことはできますか?
-
“養育費について取決めをした場合でも、その後、事情の変更があれば、月々の養育費の額を変更したり、養育費を受け取る期間を延長したりすることができます。
この場合、相手方との話合いで増額や期間延長に応じてもらえれば話は簡単ですが、その場合でも支払いが滞った場合に備えて、公正証書にしておくことがよいでしょう。話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に養育費の増額や期間延長を求めて調停を申し立て、それでもまとまらない場合には裁判所の審判により決定されます。
養育費の取決め後に、裁判所から「増額」や「期間延長」を認めてもらうためには、取り決めた内容を維持することが不相当と認められるような事情変更があることを主張しなければなりません。
お子さまの大学への入学・進学や病気・けがといった事情などが、増額を主張するための事情変更の典型例です。これらの事情をうまく主張していくことで22歳(大学卒業)までの期間延長が認められる可能性もあります。
養育費の支払いがどのくらい見込めるか知りたい方は、以下の「養育費まるわかり診断カルテ」から、受取額の目安をチェックできます。
- 養育費を増減することはできますか?
-
当事者間で再度の協議が整えば、養育費を増減することができます。協議が困難な場合には、調停や審判で決めることとなりますが、養育費を増減するには、養育費について取決めをした当時には予想できなかった事情変更等の存在が必要になってきます。たとえば、養育費を支払っているほうが会社をリストラされたような場合は、事情の変更があると認められ減額になることもあります。
- 養育費はいつまで受け取ることができますか?
-
子どもが扶養を要しない状態になったときまでとされています。以前は成人(成年)年齢が20歳だったこともあり、子どもが成人(※)したときまでと取り決めるケースも多数ありました。しかし、親の資力・学歴や子どもの進学希望の有無などを総合して4年生大学を卒業するときをもって扶養を要しないと判断されることもあります。
なお、成人(成年)年齢が18歳に引き下げられた現在も、「子が満20歳になるまでは経済的に自立していなくても親が支える」という社会的な状況に変化はないことから、養育費は子が満20歳になるまで支払うと取り決めることに問題はないと考えられています。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。ただし、子どもが「20歳」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしている場合は、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができます。同様に、改正法施行前に、子どもが「成人」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしていた場合、当時の成人は20歳を想定していたでしょうから、改正後も引き続き、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができると考えられます。
- 養育費としてどのくらいの費用をもらうことができますか?
-
養育費は、一般的に裁判所が定める算定表(養育費算定表)に従って算定していきます。調停や審判になったときには、その算定方式によることになります。算定表は、下記を参照してください。
「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」(外部サイト|裁判所Webサイト)
なお、算定表によることが著しく不公平になるような特別の場合には、その事情が考慮されることもあります。
養育費の支払いがどのくらい見込めるか知りたい方は、「養育費かんたん自動計算ツール」から、受取額の目安をチェックできます。
- 養育費を支払ってもらえますか?
-
父母は、親権者かどうかにかかわらず、子どもが経済的に自立していない「未成熟子」である間は、扶養義務を負います。
この扶養義務は、離婚後も変わりません。そのため、離婚により一方の親が「未成熟子」を引き取って育てることになった場合、他方の親に対して養育費の支払いを求めることができます。
養育費の支払いがどのくらい見込めるか知りたい方は、以下の「養育費かんたん自動計算ツール」から、受取額の目安をチェックできます。
まずはお気軽にご相談ください。
朝9:00 ~ 夜10:00・土日祝日も受付中
0120-818-121