相談までのできごと
勤務先で調理業務を担当していたXさん。営業開始に間に合わせるために定時前から準備を始めたり、休憩時間を返上して業務を行ったりすることが当たり前となっていました。
それにもかかわらず、毎月支払われる残業代は5,000円足らず。実際の残業時間に見合っていないことは、明らかでした。
そのため、Xさんは退職後、ほかの法律事務所へ残業代請求を依頼。しかし、進捗が不透明だったことなどから、依頼先を変えることも検討し、当事務所へご相談くださいました。
弁護士の対応
詳しくお話を伺うと、Xさんは在職中、タイムカードへの打刻だけでなく、サービス残業を余儀なくされたときなどに備えて、ご自身でも出退勤時刻のメモを残していました。
そのため、弁護士は、タイムカードやメモから残業時間を立証できる見込みが高いことをご説明。また、変形労働時間制が争点となり得るものの、仮に有効だったとしても未払いが生じている可能性が高いことなどをお伝えしたところ、正式にご依頼いただくこととなりました。
弁護士は早速、相手方と交渉を開始。まずは、変形労働時間制は有効であるものの、それでも約280万円が未払いになっていることを主張しました。
また、休憩時間については、裁判では認められないことが多いものの、Xさんのご申告をもとに「20分ほどしかとれなかった」と主張し、強気に交渉。
その結果、相手方は請求をおおむね認め、「約250万円の支払に応じる」と提案してきました。
裁判をした場合の見通しよりも高い金額であったため、弁護士はXさんに対し、提案に合意することもおすすめできることをご説明。一方で、再交渉により若干の増額を試みることができることもお伝えしました。
最終的にはXさんのご意向により、相手方が提案してきた条件で合意。ご依頼から解決金の入金まで約4ヵ月でのスピード解決となりました。
弁護士からのコメント
今回のケースでは、変形労働時間制については無用な争いを避けつつ、休憩時間については果敢に交渉したことが迅速かつ有利な内容での解決につながりました。
また、変形労働時間制を有効とした場合、労働時間の計算が非常に複雑なため、会社が「休憩時間はもっと多かったはずだ」との反論を断念したとも考えられます。
残業代請求は、弁護士の知識や経験により、解決までのスピードや結果が大きく変わる場合があります。
アディーレなら、残業代請求の手続について労働問題を取り扱う専属チームの弁護士が対応。解決までしっかりサポートいたしますので、安心してお任せください。
この記事に関連するよくあるご質問
勤務した時間を手帳に書き込んだメモしか資料がありません。それでも残業代請求の証拠に使えますか?
未払い残業代を請求する際は、タイムカードなどの客観性の高い証拠があるのが望ましいことはもちろんです。
しかし、勤務時間を書き込んだメモに価値がないかといえばそんなことはありません。メモを根拠に残業時間を算定することができますし、メモであっても十分証拠として利用できます。
ただ、本人が自由に書けるものであるという点は否定できないので、タイムカードのような客観性の高い証拠に比べて価値が劣ることは事実です。使用者側がメモは信用できないとして争ってきた場合には、メモ以外のさまざまな資料(たとえばGPS記録など)からメモの記載を裏付けていく必要があるでしょう。メモの記載がどのくらい認められるかはその裏付け作業がどの程度うまくいくかという点にもかかってきます。
また、どの程度の証拠が必要となるかについては、残業代を請求する手段によって異なります。
通常は任意交渉、労働審判、訴訟の順でより厳格な立証活動が必要となってきますので、手持ちの証拠に合わせて手段を選択していくことも重要です。
タイムカードで勤務実績を管理していました。弁護士に依頼すれば、会社からそのタイムカードの開示を受けられますか?
弁護士に依頼することで、タイムカードの開示を請求することはできます。
タイムカードは、残業時間の算定に関して強力な証拠となるので、タイムカードが存在しているならぜひとも入手したいところです。未払い残業代を請求したいのに、手元にタイムカードがない場合には、使用者(会社側)に対してタイムカードの開示を請求していくことになります。
その場合、まずは弁護士から開示を請求します。この段階で使用者が応じてくれれば問題はありません。
また、弁護士からの請求に対して開示を拒んできた場合でも、さまざまな方法でタイムカードの開示をするよう働きかけることができます。
たとえば、民事訴訟などの法的手続を利用し、そのなかでタイムカードの開示を請求していく方法があります。
裁判官などがタイムカードの提出を使用者側に指示してくれれば、使用者側も従わざるを得ない場合が多いでしょう。さらに、タイムカードを提出するよう、裁判所から使用者側に正式な命令をするように請求することもできます。
また、裁判を起こす前でも、使用者側がタイムカードを改ざんしたり破棄したりするおそれがあれば、裁判所において証拠保全の手続をすることも考えられます。
未払い残業代の請求を行う場合、一般的に労働者側の証拠がそろいづらいケースが多いのですが、このように、弁護士に依頼することで、訴訟などさまざまな手続を通じて使用者側に証拠の開示を求めることが可能となります。
どのような資料であれば、残業したことを証明できるのでしょうか?
一般的には、タイムカードや業務日報といった資料が残業の証明となります。
ただし、労働事件において証拠となるものには、特に制限がありません。
たとえば、以下のようなものも場合によっては証拠となり得ます。
・日記やスケジュール帳
・会社で使っているパソコンのログイン、ログアウト情報
・自分で書いたメモ(仕事の時間帯や移動方法、仕事で行った場所、仕事の内容など)
・FAXの送信履歴
・会社から家への「帰るよ」というメールの送信履歴
とはいえ、やはりタイムカードや業務日報といった勤怠管理資料があったほうが、請求はスムーズに進みます。「資料が手元にない…」という方でも、弁護士に依頼すれば、裁判所を通じて会社側に資料の開示を求めることもできますので、まずはお気軽にご相談ください。